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2024年3月31日日曜日

4-8J. 定員内不合格について

 

1.定員内不合格とは

 定員内不合格とは、高校入試において入学希望者数が定員未満であるにもかかわらず、障害を理由として入学を認めないことです。ただし入学を認めない理由は、一見障害と関係ないように説明されます。例えば「入学試験である一定の点数が取れていない」、「高校教育を受けるだけの能力・適性がない」等です。

 

2.高校の適格者主義

 定員内不合格を正当化する根拠は、1963年に出された文部省の通知です(「公立高等学校の入学者選抜について」)。その別紙「公立高等学校入学者選抜要項」では、高校入試における選抜方針について次のように述べています。

 

 1 高等学校は、高等学校教育の普及およびその機会均等の精神にのっとり志願者のなるべく多数を入学させることが望ましいが、高等学校の目的に照らして、心身に異常があり修学に堪えないと認められる者その他高等学校の教育課程を履修できる見込みのない者をも入学させることは適当でない

 高等学校の入学者の選抜は、中学校長から送付された調査書その他必要な書類、選抜のための学力検査の成績等を資料として、高等学校教育を受けるに足る資質と能力を判定して行なうものとする

 

また1984年の文部省の通知「公立高等学校の入学者選抜について」では、次のように述べています。

 

 1 高等学校の入学者選抜は、中学校長から送付された調査書その他必要な書類、選抜のための学力検査の成績等を資料として、各高等学校、学科等の特色に配慮しつつその教育を受けるに足る能力・適性等を判定して行うものとする

 

これらは、いずれも高校を卒業できないと考えられる子どもが入学するべきではないという考え方(=適格者主義)に基づく者です。この適格者主義は、障害のある子どもが高校で障害のない子どもと共に学ぶ権利を奪う方便となっていて問題です。

 適格者主義は、近年学習指導要領でも採用されなくなってきています。高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説では、高校の目標が「義務教育の成果を発展・拡充させること」にあるため「生徒の実態に応じ義務教育段階の学習内容について学び直し、その成果を発展・拡充させるため」に、「学校設定教科・科目を高等学校の教科・科目として開設すること」は、「高等学校教育の目標に適合するものである」としています。これは学習指導要領が、子どもに合わせて学校が変わる/教育内容を変えるという考え方をとっていることを示しています。この考え方は、障害のある子どもが高校で共に学ぶ権利を保障するうえで重要です。

 

3.定員内不合格の現状

 2023年度には47都道府県中38府県で定員内不合格者がいました。同年度に定員内不合格者数が0人だった都道府県は、次のとおりです。

 

出典:NHK「“障害に関係なく学びたい”高校進学目指す脳性まひの男性」202425日(https://www.nhk.or.jp/shizuoka/lreport/article/005/70/

 

なかでも東京都と大阪府は、教育委員会が定員内不合格を出さない方針を出しています。

 だた、2023年度も各地で定員内不合格が出されました。例えば静岡県立高校を受験した芹澤怜誠さんです(https://www.nhk.or.jp/shizuoka/lreport/article/005/70/)。芹澤さんは、2022年度から2年連続高校受験をして、二度も定員内不合格で高校進学を阻まれています。こうしたことは、静岡県の他、熊本県、千葉県等でも確認されています。高校で学びたい子どもの学習権が保障されないことは、問題です。

2024年3月25日月曜日

blog202010 相模原市教委 医療的ケア児の地域の小学校就学を拒否


 相模原市教育委員会が、医療的ケア児の地域の小学校への就学を拒否している。小学校入学に際して、本人・保護者が地域の小学校への就学を希望し、相模原市教委が、1年間特別支援学校から交流をして2年目から地域の小学校に転校することを勧めた。しかし、市教委が方針を変え、地域の小学校への転校を拒否した。
 父親は「(小学校に就学するための)計画表までつくって進めてきたのに、急にだめになったと言われても納得がいかない。」と語っている。

参考文献
朝日新聞, 2020.10.23, 「医療的ケア児、就学先めぐり平行線 両親と相模原市教委」.
https://www.asahi.com/sp/articles/ASNBQ6W42NB1ULOB01V.html?fbclid=IwAR1mirJcCcDDQ4nTz1kCGpAWIcocwvX-30ldcP6dJzA9YVJPcp3QxK5Fpng

blog202009  教員が差別を再生産

 
 障害者権利条約に批准した日本で、教員による障害者差別が起きてしまった。
 今年6月、小学校の教員が、交流及び共同学習の授業で、子どもが騒いだ際、「うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください」と発言していた。そして、手を挙げなかった普通学級の子どもに「あなたも支援学級に行きなさい」とも発言し、手首をつかむなどしていた。教育委員会の聞き取りに対して教員は「指導の一環で、悪意を持ってやったわけではない」と説明している。
 この教員は日頃から、特別支援学級にいる子どもは邪魔者であるという意識を持っているのではないか。分離教育が受け継がれていくと、分離される者に対する差別心がこびりついてしまう。
(CPちゃん)

元記事
支援学級の子「邪魔だと思う人は手を挙げて」 教員が不適切発言 ショックで休む児童も
2020/09/09 11:08
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1188116.html

blog202103 権利条約を完全に無視した司法判断

 2021/03/20

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 就学先を特別支援学校に指定したのは違法だとして神奈川県および川崎市を訴えた裁判。横浜地方裁判所は3月18日、原告の訴えを退けた。
 判決要旨を読むと、障害者権利条約について触れられておらず、どうすれば和希君の教育がインクルーシブ教育(非障害者とともにいながら最大限その子の可能性を伸ばす教育)になるのかの検討が全くなされていない。証人尋問で述べられていた合意形成の過程も、検討されなかった。
 日本は、権利条約を批准した国にもかかわらず、それを完全に無視した判決が出た。今後の各自治体の就学相談に影響しかねない。原告は控訴した。
裁判所は特別支援学校への措置は次の理由で適法だったとした。
① 就学通知が法令と異なり3月下旬に遅延したのは、原告と合理形成をした結果であり、問題はない。
② インクルーシブ教育は特別支援学校の排除していない。
③ 本人・保護者の意向は、就学先決定の判断材料の一つ。専門家の意見聴取も求めている。
④ 主治医の診断書の提出や幼稚園に対する聴取を待たずに就学先しているが、 障害の状態に誤りが無いため,判断過程の瑕疵、合理的配慮を欠くものでない。
⑤ 川崎市が原告を医療的ケア支援業の対象としなかったのは、人工呼吸器の子どもを小学校に受け入れた例が無い等の市の裁量であり、合理的配慮を欠くもので無い
⑥ 市教委の就学先指定は、学校教育法施行令第5条に満たすもの。原告の教育的ニーズに合致し、社会通念に照らし,著しく妥当性を欠くものとは言えず、承認した県教委の判断にも不合理な点はない
 

blog202103 川崎就学裁判 1審判決に関するCPちゃん意見


横浜地方裁判所が出した判決は、障害者権利条約からすると次の2点において受け入れがたい。

(1)障害者への侮辱

 1審判決では、「原告Aは、一般的な発話による意思表示に困難を抱えており、その理解力・表現力・表出力は、平仮名・数字等を的確に理解し、これを表現・表出し得る程度に至っているものとは認め難い」とした。これは能力主義の発想で、健常者至上主義が露骨に現れている。意思表示が困難な場合、普通学級でいてはならないだろうか。学校は、コミュニケーションを伸ばして子どもが成長する場所であり,はじめはみんなコミュニケーションに困難性がある。そもそも「困難」は、コミュニケーションの受け手、つまり和希くんと十分に関わっていない健常者が困難という意味だろう。人間である以上、意思は誰でも持っており、それを表現しようとする。受け取れないのは、表現方法に受け手が気づかないだけである。表現方法と外界との溝を埋めるのが、普通学級での合理的配慮と自立活動だ。

 この判決は差別的だ。

(2)和希くんの合理的配慮と教育的ニーズに関する検討の欠落

 1審判決は、和希くんがどうしたら普通学級で学習できるか、どんなことが普通学級で出来ないかという検討が一切無かった。司法は教育の専門ではない。しかし事件が教育に関するものである以上、教育の具体的検討が不可欠である。極めて血が通っていない判決だ。

blog202106 医療的ケア児支援法成立 インクルーシブ教育の推進に寄与


 6月11日、国会で「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が成立しました。今年9月に施行されます。医療的ケア児支援法では、医療的ケアが必要な子どもがいる場合、自治体が保育園や幼稚園、学校に医療スタッフを配置することを定めています。また、各都道府県には、医療的ケアを必要とする子どもとその家族が日常的な問題を相談できるサポートセンターを設置することが定められています。この法律は、医療的ケアを必要とする子どもを持つ家族の負担を軽減し、親の離職を防ぐためのものです。日本では、2万人の子どもが医療的ケア児とされています。

参考文献

共同通信、2021年6月11日、「『医療的ケア児』への支援法成立 保育所、学校に看護師配置」。https://nordot.app/775996497908023296

認定NPO法人フローレンス、2021年6月11日、「『医療的ケア児支援法』が可決 全国医療的ケア児者支援協議会が提言活動を行ってきた医療的ケア児支援が自治体の責務に」。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000199.000028029.html

blog202109 国連 子どもの権利委員会 2021一般討議日 ー障害児と脱施設化ー

  国連 子どもの権利委員会 2021一般討議日 ー障害児と脱施設化ー

   国連の子どもの権利委員会は、2021年9月16日~17日にかけて「2021一般討議日:子どもの権利と代替的養護」を対面とオンラインで開いた。世界各国から1200名参加した。今年の一般討議日(およそ2年に1回行われている)は、以下の12の目標が設定されていた(Committee on the Rights of the Child , “Children’s Rights and Alternative Care Background Document”、2021, p3)。

·        ・代替的養護(養子、里子、施設で育つ)を経験した子どもや若者のための有意義な参加を創る

·        ・代替的養護に措置された大人から学ぶ

·        ・親の養育のない子どもに関する国連総会決議(2019)(the 2019 UN General Assembly (UNGA) Resolution on children without parental care)を検証する

·     ・自由を奪われた子どもに関する国際研究(the Global Study on Children Deprived of Liberty)を足がかりにする

·        ・代替的養護における害や虐待を確認し、司法と説明責任につなげる方法を探る

·        ・代替的養護における新型コロナウイルス感染症の影響から学ぶ

·        ・家族の分離を防ぐ

·       ・ 特化した支援や何をもって質の高い代替ケアとするのかについて、経験から学ぶ

·       ・子ども保護の仕組みを強化する取り組みを探る

·        ・正確な調査を促進する

·        ・複雑な状態への刷新的なアプローチを探る

 このイベントでは、障害児を、分離と施設収容にあうリスクの高い子どもと捉えているのが印象的だった。障害者の脱施設化を進めていくにあたり重要なため、紹介する。(以下は、同,pp, 41-42から要約)

2.10.1 障害のある子ども

 障害のある子ども(身体と知的障害の両方)は家族から分離させられたり施設収容にあうリスクがほかの子どもよりも高い。提出資料(一般討議日のために委員会が募集した手紙・絵・ビデオ・意見書)には、これに対して次のような多数の理由が述べられた。

·        子ども一人ひとりにあった地域支援と在宅支援が不足している

·        社会によって作られたスティグマ、差別、否定的な慣習的態度、その他の障壁がある

·        貧困や、障害関連費用をまかなうための家族への経済的支援の不足している

·        施設収容、入院、治療を強制する差別的法律がある

·        サービス利用における法的・行政的な壁(対象、基準)がある

·        意思決定から子どもや親を排除する、医学モデルのアプローチや精神能力検査の使用

 施設に暮らす障害のある子どもは良くない状態、ネグレクト、暴力、虐待に遭うかもしれない。提出資料には、施設やグループホーム、里親のもとで、障害のある子どもが否定的に扱われている様々な現状が述べられている。

例えば、年齢、性別、興味、家庭的な環境といった個人状態を無視したところに措置された子どもたちだ。資料の提出者たちは、代替的養護における障害のある子どもに影響する様々なかたちの虐待を指摘する。身体的・心理学的・感情的な虐待、ネグレクト、不確定な期間で施設に閉じ込めること、辛辣な罰、女児・男児の性的虐待、性と生殖的な健康・権利の侵害。そしてこれらに関して司法につながることへの否定。

辛辣な差別、虐待、権利の否定は、交差する傷つきやすさのある障害のある子ども(女児、先住民、難民・移民、性自認ができていない子どもなど)においてさらに悪化しやすい。

  股、家族から分離されていない障害のある子どもも、公平に本人にあった必要な支援やサービスを利用できていなく、将来に分離させられるリスクに置かれている。とくに地方や人里離れたところに住む子どもや、原住民家族・特殊化されたサービスのコミュニティからの子どもは支援やサービスを往々にして、より利用できない。

障害のある子どものためのリハビリテーションと他のサービス(支援機器など)は使用料が高く、家族ケアの重荷になっている。家族は子どもにとって不十分で、連携されていないサービスの組み合わせを使うことに息切れしてしまい、入所施設を手段として頼ってしまう。

 提出資料では、①障害のある子どもは差別やサービスの不足のために家族からの分離の危険が高いこと、②障害のある子どもの分離を防ぐことが重要なテーマに挙がっていた。分離を防ぐことは、以下のような方策である。

·        子ども一人ひとりのニードにあったサービスと支援の提供(在宅サービス、

·        インクルーシブ教育、早期発見、家族支援、パーソナルアシスタントなど)

·        危機のときや乳幼児期の介入と診断情報の提供

·        障害のある子どもの平等な機会を提供するためのインクルーシブな政策

·        障害のある子どもの支援について親や家族が学ぶための研修、情報、支援、指針の提供

·        社会規範を変えるキャンペーン

·        周辺化された傷つきやすいコミュニティでの支援と援助

·        障害のある子どもと親/家族の参加とエンパワーメント

·        統計データと情報が利用できること(養育権の状態など)

 

 提出資料で挙げられたほかの重要な問題は大人が、障害のある子どもについての彼らの選択を聴く、彼らの意見を尊重するのに失敗していることである。これは、薬物治療の強制や暴力といった幅広い危害につながる。提出資料では、障害のある子どもは自分の考えを表すことができ、自分のケアについて満足のいくわかりやすい情報を受けとることが重要だとする。この支援が往々にして提供されていないため、障害のある子どもは往々にして、保護者、サービス提供者、すべての社会によって見えない気づかれない存在である。

 提出資料では、障害のある子どもについての適切な信頼できる比較可能なデータはないことが多く、それが彼らのニードにあったインクルーシブな計画やサービスを届けるのをより難しくしていると指摘した。

blog20211129自由を奪われた子どもに関する国連グローバル調査(UN Global Study on Children Deprived of Liberty )


  この調査は、権利侵害を受けている子どもに関する大規模な国際調査です。障害児については第12章。しかし、第1章で子ども期に自由が奪われるとどうなるか等が詳述されており、全部おすすめします。しかし800ページ以上あり、日本語訳が見当たりません。どこかにあると思いますが、探し切れていないだけと思います。

 まずは紹介をしようと思います。私も障害当事者の視点で少しずつ訳していく予定です。

(以下は「UN Global Study on Children Deprived of Liberty - Global Campus of Human Rightshttps://gchumanrights.org/research/projects/un-global-study/about.html」から要約翻訳)。

 

・啓発アニメーション

YouTubeAnimated film on the UN Global Study on Children Deprived of Liberty

https://www.youtube.com/watch?v=-M-leMlXkHA

 

「自由を奪われた子どもに関する国連グローバル調査」(2019)は、Manfred Nowakが行った包括的な調査である。世界中の専門家や団体がチームになって274名の子どものインタビューを実施。調査は次の6つの環境でくらす、自由を奪われた子どもについて検討している。①未成年の司法、②保護者を伴った留置、③移民を理由にした留置、④施設、⑤武装紛争、⑥国家安全保障の文脈。

 また調査では、子どもの視点・観点を重きに置くとともにジェンダーの観点や、健康や障害のある子どもの影響に着目した。7百万以上の子どもたちが現在、自由を奪われたところで暮らしている。本調査は、関連する具体的な領域のことに加え、広範囲にわたる提言を述べている。

 この調査のフォロアップとして、提言を実施するための活動はたくさんみられる。

 

理論的根拠、背景、主なデータ

 子ども時代は、個性、他者との感情的な関係、社会的・教育的なスキル、才能を構築する時期である。彼らの自由を奪うことは、彼らの子ども時代を奪うことを意味する。子どもの権利条約第37条(b)は、子どもの自由の剥奪(法律に従った逮捕、拘留、拘禁)は「最後の解決手段として最も短い適当な期間のみ用いること」とされている。

 この状態に対応するべく、国連総会は201412月、事務総長に自由を奪われた子どもに関する詳細なグローバル調査をする委員会を申し入れた。201610月、Manfred Nowakが本調査を主導する独立的な専門家として指名された。彼は2019108日、調査の最終的な要約レポートを総会に提出し発表した。その翌月の19日には彼のチームはわかりやすい版をジュネーブで発表している。

 調査は政府各国や、次のような機関や団体とともに行い、テーマ・国・地域別のヒアリングを実施した。

·       OHCHR

·       UNICEF

·       UNODC

·        UNHCR

·        IOM

·       WHO

·       子どもの暴力に関する事務総長の特別代表

·       子どもと武装紛争のための事務総長の特別代表

·       子どもの権利委員会

·       170以上の市民団体と学術団体( Global Campus of Human Rightsが主導)

 

 本調査は、自由の剥奪の状況下でくらす子どもにおける次の6環境を調べた。

·       司法行政

·       保護者ともに刑務所でくらす子ども

·       移民

·       施設

·       武装紛争

·       国家安全保障

 

 自由を奪われた子どもは、各政府が法的に認知している件数を合わすと年間150万人だが、事実上720万人いることが分かった。(施設では法的には67万人に対し、事実上540万人)。

 この調査は、世界中の異なる地域における各環境の主な知見を示し、付随する提言を実施するベストな方法について議論するのに欠かせなかった。発表以降、本調査を広く知らせる活動が行われている。

 

Manfred Nowak による講演(見えない問題を見えるようにする大切さが分かります)

https://www.youtube.com/watch?v=QWyRaeitYdU

 

https://www.youtube.com/watch?v=8Qml-PjgCV0

2021/11/29

DRI(Disability Rights International )2021キャンペーン

 

Disability Rights International2021年、子ども権利委員会の2021一般討議日を障害分野から啓発するため、かぞくと暮らすことの権利を守るキャンペーンを行った。キャンペーンのページには次のように書かれている。

少なくても世界中で約1千万の子どもが、かぞくの愛と養育を受けず施設で育っています。公的資金やキャリティで年間100億ドルのお金が孤児院、施設介護、グループホームに流れています。DRI の複数の報告書ではこれらの子どもの虐待、ネグレクト、人身売買の詳細を記録してきました。すべの子どもが、孤児院やグループホームではなく、かぞくと一緒に暮らし育つ権利があり、その機会を持たなければなりません。

本キャンペーンでは、署名運動(世界200筆以上)や、以下のウェビナーを開催した。

・障害のある子どものためのグループホーム?障害者権利の観点から(2021年9月7日)
(Group homes for children with disabilities? Disability rights perspectives. Symposium)

・かぞく生活を送る権利を守りすべの子どもの施設収容を防ぐ。課題と解決(2021年9月8日)
(A Call to Action to protect the right to family life and prevent institutionalization for all children. Challenges and solutions)


上記2つの動画はこちらから 

ーーー
・世界的な論争:国際人権の実施。小規模グループホームの孤児院に取って代わるもの
(A Global Controversy: International Human Rights Implications of Replacing Orphanages with Small Group Homes)

 

blog20220712 脱施設化ガイドライン案

 2022/07/12

 2022年5月末、国連障害者権利委員会は「緊急時を含む脱施設化に関するガイドライン(案)」を公表した。ガイドラインは、障害者権利条約第14条(身体の自由及び安全)の指針と第19条(自立した生活及び地域社会への包容、いわゆる脱施設化条項)の一般的意見5号を補完するものである。6月末まで、パブリックコメントを実施していた。

 この脱施設化ガイドラインには、どんな重い障害があっても自分の好きな地域で自分らしいくらしをどのように構築するかが書かれている。確かに私たちの生活は現在、多くの国々と同様、施設を容認する文化が強まるなかにあって、生活に制限が多い。しかし本ガイドラインが採択されると、暗い夜にキラッと光る星が灯る。健常者社会をも説得し、みんなでこの星に向けて力強く歩き出せば、誰もが享受できる地域での自立した生活が実現できる。

 さあ動き出そう!

 

★パブリックコメント詳細は

https://www.ohchr.org/en/calls-for-input/calls-input/call-submissions-draft-guidelines-deinstitutionalization-including

 

★ガイドライン案

上記ウェブページ「Draft Guidelines on Deinstitutionalization, including in emergencies
English 」を押してダウンロード

 

【脱施設化ガイドライン案の主な内容】(括弧内は原文の段落番号)

※意訳している部分が多いことをご了承ください。

 

■入所施設とは

·        ガイドラインでは入所施設の特徴として、次の要素を挙げ(15)、施設収容を施設名・形態だけではなく要素の有無の問題とする

o   介助が必要にもかかわらず他人と介助者の共有を強いられる、介助者がいない、介助が制限される

o   地域における自立した生活から隔離、分離

o   日々の判断を自由にコントロールできない

o   誰と住むかを決めることが出来ない

o   そのひとの意思、嗜好と関係なく日課が厳格に決まっている

o   特定の管理者のもとでの同じグループおける同じ活動

o   サービス提供における温情主義的な働きかけ

o   生活様式の管理

o   同じ環境に障害者が不均衡にいる

·        あらゆる形態の入所施設は、脱施設化の改革の対象だ。1つまたは1つ以上の入所施設の特徴があれば、それは地域支援と呼べない。(16)

 

■施設収容の有害性

·        施設収容は障害者に対する差別的な実践であり、事実上の法的能力の否定につながる(6)

·        施設収容は第19条の脱施設化条項に直接否定するものだ(7)

 

■入所施設を終わらすために

·        締約国は、施設収容のあらゆる形態を廃止し、入所施設への措置を終わらせ、入所施設への投資を慎むべきである。また施設収容は「障害者の保護形態」、「選択」として考慮すべきでない。第19条で述べられている権利の行使は公衆衛生上の非常事態を含む緊急的な状態でも中断されない(8)

·        施設収容を永続化することは正当化されない。締約国は、地域支援・サービスの不足、貧困、要望などを入所施設の維持の理由に使うできない(9)

·        脱施設化プロセスは、公営と民営両方で、障害者と施設収容のあらゆる形態、隔離、分離を終わらすために行なわれならない(11)

·        締約国は、一人ひとりに施設を退所する機会を与えること、あらゆる拘束を取り消すこと、非自発的な拘束を禁止する即時的な行動をとらなければならない(13)

 

■第19条について

·        締約国は、自立した生活及び地域の包容は、条約第19条と一般的意見5号に沿って入所施設の外にある全ての種類の生活資源に言及していると認識すべきである。規模・目的・性格にかかわらず入所施設は条約に準拠するものとしてみなされない。(19)

·        自立した生活及び地域の包容は、完全な法的可能性、住宅へのアクセス、彼らの生活を再びコントロールできる支援やサービス機会が必要となる。締約国は、入所施設から退所するための多数の選択肢を用意し、彼らの判断を実現できるための支援を使えるように保障すべきである。(20)

·        第19条で言及している「住宅サービス」は入所施設の維持を正当化するものとして使われるべきでない。住宅サービスは、障害者の十分な住宅の権利を行使するための、平等で非差別を目的とした地域に基づく支援やサービスを意味する。(32)

 

■地域に基づく支援

·        締約国は、遅延することなく、地域の個別支援やインクルーシブで主流化したサービスの幅を拡充することを優先しなければならない。(21)

·        自立した生活及び地域の包容の中心的な要素は、全ての障害者が彼らの選択に基づき、日常生活や社会参加を行なう際に必要な支援があることだ。その支援は多様な選択肢を通じて、個別的で個人に向けたものでなければならない。障害者は、地域に基づく支援の提供を選ぶこと・管理すること・終わらすことにおいて法的能力を行使することができる。(22)

·        十分な障害者のための住宅や標準的な生活費を提供することは優先事項だ。締約国は施設退所者に対し、家賃補助を通じて安全でアクセシブルな手頃な地域の住宅を保障すべきである。退所者を集合住宅様式、施設の隣、医療支援付きの住宅に集めることは、第19条と矛盾する。住宅は精神医療システムあるいは入所施設が管理するサービスから独立されなければならない。(31)

 

■資金と資源の割り当て

·        締約国は、入所施設を建てることや改良するために公金を使うことをやめるべきで、すぐに公金の投資先を条約に合うようにしなければならない。(27)

·        入所施設への投資は正当化されず禁止すべきである。その投資は緊急措置として、入所者の退所や自立した生活のための適切な支援の提供に向けなければならない。(28)

·        締約国は、十分な公金をインクルーシブな地域支援制度とインクルーシブで主流化したサービスの維持に割り当てるべきである。(30)

 

■障害児について

·        施設収容は、障害児の保護の形態として考慮すべきではない。障害児のあらゆる形態の施設収容は分離形態とみなし、彼らに有害であり条約に適合しえない。全ての子どものように障害児は、かぞくと過ごす権利があり、地域でかぞくと一緒に生活し育つ必要がある。(12)

·        障害児にとって、脱施設化は家庭生活の権利の保護に直結しなければならない。子どもにとり地域の包容される権利の中心は、家庭で育つことだ。従って子どもにとって、「入所施設」は家庭にもとづかない措置である。大規模・小規模グループホームにおける措置はとくに子どもには危険である。締約国に施設介護制度を維持することを正当化し奨励する国際基準は、条約に一致せず、更新しなければならない。国際基準の調和は、障害児の保護に欠かせない。(42)

·        (中略)数百万の障害児が入所施設・施設介護のままである。国際的寄付は、孤児院・施設介護・グループホーム・子ども村を支援するべきではない。障害児はしばしば改革の外に置かれる。改革は、条約にそって家庭生活の権利を確実なものにするためにおこなわれる必要がある。(44)

·        実際の障害、あるいは障害があろうという見立て、貧困、民族、その他の社会的所属に基づいて施設に入れられた子どもたちは、施設措置のために障害を発症する可能性が高い。したがって、障害のある子どもとその家庭への支援は、すべての子どもに対する主流の支援に含まれるべきである。子どもや思春期に対するピアサポートは、地域の完全なインクルージョンのために不可欠である。(44)

·        短期間の入所措置でも、大きな苦痛とトラウマ、感情的・身体的障害が生じる。子どもたちの施設収容を防ぐことは、優先事項でなければならない。経済的な支援やその他の支援を伴う家庭に基づく措置は、障害児のために創るべきである。(45)

·         条約第23条の4は、障害に基づく子どもと親の不当な分離を禁止する。締約国は、障害のある親に対し、子どもを育てるために必要な支援と合理的配慮を提供し、子どもが施設に収容されることを防ぐべきである。(46)

·        障害のある子どもは、すべての子どもと同様に、障害に基づく差別なしに、自分に影響を与える事柄について意見を聴かれ、その意見が十分に考慮される権利を有し、このために年齢および障害に応じた支援を受けることができる。障害のある子どもが自分の意志や好みを表明し、自分に影響を与える個人的な選択や政策の決定に関与できるように、支援や調整が図られるべきである。親、親族、介護者は、障害のある子どもが自分の意見を表明することを支援する上で重要な役割を担うことができ、子どもの意見を考慮すべきである。(47)

·         子どもは施設での生活を「選択」することはできない。障害のある若者は、第19条に沿って、どこで誰と暮らすかを選択する機会を与えられるべき。一般的意見第5号で自立した生活環境は「あらゆる種類の入所施設の外での生活環境」と定義されていることを考慮しなければならない。(48)

·         締約国は、障害のある子どものために、必要に応じて、個人的支援およびピアサポートを含む地域支援サービスを開発し、その利用を確保すべきである。教育制度はインクルーシブであるべきである。締約国は、障害のある子どもを普通学校に入れ、子どもを施設に入れる圧力の増大につながる分離教育を防止し回避すべきである。(49)

·         子どもの施設収容を防ぐために、かぞくおよび子どもにとって利用しやすい情報が提供されるべきである。それは、学校、コミュニティセンター、医師のオフィス、親のリソースセンター、宗教団体を通じて、複数の使いやすい形式で提示されるべきである。かぞくが子どもを施設に入れるよう勧められたりするのを防ぐには、障害の人権モデルに関する専門家のトレーニングが重要である。(50)

4-7-1 脱施設化ガイドライン わかりやすいバージョン



 国連の脱施設化ガイドラインを分りやすくしてみました。
今後はもっと読みやすくする予定です。地域生活するときの説得資料等に使っていただければ幸いです。

参照元:Guidelines on deinstitutionalization, including in emergencies(原文日本語訳(JD仮訳)))

 

緊急事態対応を含む脱施設化ガイドライン

わかりやすいバージョン(ver. 1. 0

I.目的と手続き

段落1

このガイドラインは、障害のある人が自立して生活し、地域社会に含まれる権利を実現すること、障害のある人が入所施設に入ることを防ぐために役立ちます。

 

段落2

このガイドラインは、コロナ前やコロナ禍で入所施設にいる障害のある人の経験(生活の有害な影響、暴力、ネグレクト、虐待、不当な治療、拷問など)を元にしています

 

段落3

障害者権利委員会では、世界中500人以上の障害当事者、市民団体から聞き取り調査をしました

 

Ⅱ.国の、障害のある人を入所施設に入れること(施設収容)を終わらせる義務

段落4

世界中で障害のある人は危険な状況で入所施設に入所させられています。コロナはこの事実を改めて浮き彫りしました。

 

段落5

障害のある人を入所施設に入れることは、障害者権利条約に合っていませんが、世界各国で長く続いてしまっています

 

段落6

障害のある人を入所施設にいれることは、障害者権利条約の数々の条文に違反しています。(第5条、12条、14条、15条、16条。17条、19条、25条など)

 

段落7

施設入所は、障害のある人が自立して生活し、地域に含まれる権利と違います

 

段落8

国は、障害のある人を入所施設にいれること(施設収容)を終わらせ、施設への投資を控えるべきです。施設収容は「保護」や「選択」ではありません。それは緊急事態でも同じ。

 

段落9

施設収容に正当な理由はありません。財源、法律がないこと、スティグマがあることは理由になりません。

 

段落10

個人的な危機(障害の悪化、家族の体調不良、介助者不足など)を抱えるからと言って、施設収容の対象になってはなりません。

 

段落11

脱施設化で目指すのは、障害のある人のあらゆる形態の施設収容、隔離、分離を終わらせることです。

 

段落12

障害のある子どもを入所施設に入れるのは、保護ではありません。分離の一形態であり、有害で、条約に違反します。

 

段落13

国は障害のある人に入所施設から退所する機会を提供しなければなりません。国は新規入所、新規改築をやめてください

 

Ⅲ. 脱施設化のキーポイント

A.施設収容

段落14

入所施設には次のような特徴があります(以下は障害のある人が嫌だと思ったときに問題になります)。

・障害のある人の意に反して、ひとりの介助者が複数人の介助をする

・地域での自立した生活から隔離され、分離されている 

・自分に関わることを勝手に決められる

・誰と暮らすかについて選択肢がない

・スケジュールが決められている

・上から目線のサービス

・生活を監督されている

・障害のある人が集まっている

 

段落15

障害のある人の施設収容は、、障害という理由のみ、または「介護」や「治療」といった理由と組み合わせて、様々なところで行われている

 

段落16

「地域~」という施設もあります。それらはすべて脱施設化をする必要があります。

 

段落17

障害者権利条約の第19条は、入所施設以外の障害のある人の支援について述べています。施設の規模、目的、特徴、入所の期間にかかわらず、施設は条約の趣旨と合いません。

 

段落18 

刑務所など、障害者福祉施設以外の施設にも、障害のある人が多くいる可能性があります。国はそこでの差別も断ち切らなければなりません

 

B.脱施設化プロセス

段落19

脱施設化の重要な点は、障害のある人が、どのように、どこで、誰と暮らすかについて決めることができることです。これにはいろんな努力を組合わせることが必要です

 

段落20

脱施設化は、障害のある人(入所施設に入った経験がある人など)主体で進めなければなりません。次の行動は条約第19条に反します。 

施設の改修、ベッドの増設、大きな施設から小さな施設に移行すること、施設の維持、人権侵害(身体的な制限など)を良しとする法律を作り維持すること

 

C.障害のある人の選択する権利、意思、希望を尊重する

段落21

自立した生活と地域で暮らすことのためには、障害のある人の完全な法的能力、住宅へのアクセス、自分の人生を再びコントロールできることを尊重する必要があります。

 

D.地域に密着した支援

段落22

国は遅れることのなく、質の高い個別支援と、地域のインクルーシブなメインストリームサービスを作りましょう。

 

段落23

自立した生活と地域で暮らすことの重要な要素は、障害のある人が、自らの選択に基づき、日常生活を営み、社会に参加するために必要と思われる支援を受けることです。

 

段落24

障害のある人が、どのような地域サービスを使い、調整し、終了するかを決められるようにする必要があります。その際の支援は公的なものと民間のものがあります。

 

段落25

自立した生活を送るための支援サービスは、障害のある人にとって使いやすいものであることが重要です。

 


 

段落26

地域に密着したサービスには、いろんなものがあります。また、障害のある人が、メインストリーム(障害のないの人が使う)教育、雇用、司法制度、医療などを利用できるようにする必要があります。

 

段落27

パーソナルアシスタンスサービスは、その人のニーズに基づいて個別に、すべての障害のある人に提供する必要があります。入所施設に入れられている人は、施設を出る際すぐにサービスに利用できるように、施設を出る前にパーソナルアシスタンスの仕組みに繋がっておくべきです。

 

段落28

地域に密着したサービスは、分離した施設とつながるサービスが作られるのを防がなければなりません  

 

E.資金と資源の割り当て

段落29

将来の施設を作ったり、維持したりするのにお金を集めるのは(改築を含む)は禁止されなければなりません。投資は自立した生活の支援に向けてください。

 

段落30

国は、入所施設の建設や改修に公的なお金を使うことはやめましょう。お金は地域支援とメインストリームサービスのために使ってください。

 

段落31

国は、入所施設を退所する障害のある人に対し、地域での生活をはじめるときに必要なもの(日常生活用品、現金、食料引換券、利用可能なサービスに関する情報など)を、退所後すぐに提供する必要があります。

 

F.アクセシブルな住宅

段落32

国は、入所施設を退所する障害のある人のために公共住宅を確保したり、家賃補助をする必要があります。但し、退所者を特定の所に住まわせることは障害者権利条約に合っていない

 

段落33

障害者権利条約の第19条に書かれている「居住サービス」は入所施設を意味していません。


 

 

G.障害のある人が参加する脱施設化

段落34

脱施設化を進めていく過程では、入所施設を退所しようとしている人、施設を出た障害のある人の意見を優先させる必要があります。施設を運営に関わる人が、脱施設化に影響を与えることを防がなければなりません。

 

段落35

施設にいる人、施設から退所した人、施設に入る可能性がある人には支援と情報が必要です。

 

段落36 

国が脱施設化を計画する際は、障害者権利条約第19条、障害のある人を入所施設にいれて社会からの排除することの悪影響、脱施設化の必要性について国民に理解してもらえるようにしなさい。

 

Ⅳ.障害のある人と多様性を大切にした脱施設化

段落37

すべての障害のある人には地域で生活する権利があります。一部の人に対して、自立して生活できない、施設に留まるべき、と決めつけることは差別です。

 

段落38 

家族に手伝ってもらうことは全く問題ではありません。但し、これははっきりとした本人の同意によるもので、国はその家族に対して十分に支援をする必要があります。

 

A. 交差性

段落39

入所施設に住んでいたり、入所施設から退所するのある人の差別、隔離、分離、その他の形態の虐待に取組むためには、その人の人種、性別・ジェンダー、年齢、機能障害、入所経験などを考えていく必要があります。

 

段落40

差別は障害のみの理由で起るのではなく、その人の特徴や支援サービスの不足の組合わせで起ります。その差別が施設収容につながります。

 

段落41

脱施設化を進める際は、交差性を考える必要があります。

 

 

B.障害のある女性

段落42

国は、性別やジェンダーに関する次のことを考えて脱施設化の計画を考えてください

·       障害のある女性は、他の女性と比較して、暴力、搾取、虐待のリスクが高い

·       入所中に強制避妊、強制中絶、不妊手術などに遭うリスクがある

 

C. 障害のある子どもと若者

段落43

障害のある子どもにとって、脱施設化は、家族と一緒に生活していくことです。グループホームは、子どもにとって特に危険です。入所を進める国際基準は、条約に反してます。

 

段落44

障害のある子どもは家族と一緒に生活する権利を持っています。「家族」には既婚・未婚の親、片親、同性同士の親、養子縁組家族、親族、きょうだい、拡大家族、代理家族または里親が含まれます。孤児院、入所施設、グループホーム、子ども村などには寄付しないでください。

 

段落45

施設を入ると余計、機能障害が悪くなる可能性が高いです。障害のある子どもと家族への支援は早い時期から、メインストリームで行う必要があります。

 

段落46 

子どもは短い間家族から離れただけで、大きな苦しみやトラウマ、感情的・身体的な機能障害を引き起こます。子どもを施設に入れないことが大事です、 

 

 

段落47

条約234項は、子どもに障害、親に障害があっても、親子分離を禁止しています。国は、子どもの施設入所を防ぐための支援と合理的配慮をしなさい

 

段落48 

障害のある子どもは、すべての子どもと同様に、自分に関することについて意見を聞かれ、その意見が大切にされます。

 

段落49

子どもが施設入所を選ぶはずはありません。障害のある若者にはどこで誰と暮らすかを選択する機会を与えてください。

 

段落50

障害のある子どもと若者に対し、パーソナル・アシスタントやピアサポートを含む地域支援サービスを創る必要があります。国は、障害のある子どもを普通学校(mainstream schools)に入れ、施設に入れる圧力の増大につながる分離教育から防ぐことが大事です。

 

段落51

子どもを施設に入れないために、家族と子どもが必要な情報を得やすいようにしなければなりません。支援者への研修には障害の人権モデルの視点が大切です。

 

D. 障害のある高齢者

段落52

脱施設化の取り組みは、認知症がある人など障害のある高齢者も対象としなければなりません。地域の支援とサービスで年齢による差別は起こしてはならない。

 

Ⅴ.法的に脱施設化できるようにする

段落53

国は、障害のある人が自立して生活し地域に含まれることを妨げる、法例を廃止し、実践を修正・廃止すべきです。法令は、障害のある人の完全なインクルージョンを可能にし、施設の閉鎖に向けた脱施設化を実現するものでなければなりません。

 

段落54

脱施設化の法令は、パーソナル・アシスタンスを受ける権利など自立して生活し、地域に含まれる権利を法的に認めるものでなければなりません。

 

段落55

障害のある人の法的能力を認める法令の改正は、脱施設化と同時に直ちに実施されることが重要です。障害のある人(入所施設に入っている人を含む)が、後見人、強制的な精神医療処置の対象である場合、すぐに解除されるべきです。

 

段落56 

脱施設化について、障害のある人が国・施設側に対し法的に訴え出ることは必要です。とくに施設で性暴力を受けている女性にとって重要です。国は、障害のある人が司法につながりやすくするべきです。

 

段落57

施設にいて自ら苦情を申し立てることができない場合、国内人権機関および擁護団体が訴え出ることができます。

 

段落58

障害を理由に自由を制限する法令は廃止すべきです。例えば、子どもを含む精神科入院に関する規定です。

 

段落59

国は、障害による施設収容が、「差別」であると認めるべきです。

 

段落60

国は脱施設化にためになる、法令、政策、予算、支援サービス、人材を、整備する必要があります。

 

段落61

法令を見直すときのポイントは3つです

 

段落62

法律は障害者権利条約に合うようにしてください

 

段落63

いまある入所施設のお金やその施設が果たしている役割について把握し、どのように地域に移すかを考える必要があります。

 

段落64

いまある地域サービスについて把握する必要があり、障害のある人にとって利用しやすくすることが大事です。

 

段落65

地域サービスをはじめるときのポイント(障害のある人と協議しながら)

 

段落66

国は脱施設化を進める際、施設で働く人のことを考える必要があります。彼らをどのように条約に合うサービスに転職させることができるかと言うことです。

 

段落67

脱施設化の計画は、きちんと行程やスケジュールがあり、十分な予算をもって進める必要があります。

 

段落68

脱施設化の戦略と行動計画は、障害のある人(とくに施設経験のある人)と協議し作成された宣言・声明を元にしたものにしてください

 

Ⅵ.インクルーシブな地域支援サービス、システム、ネットワーク

A.支援システムとネットワーク

段落69

支援システムとネットワークとは、障害のある人の意志決定を大切にした生活を支える家族、友人、隣人、あるいは信頼できる人々とともに作り上げるものです。障害のある人が自立して生活し、地域に参加する権利を行使するために必要です。

 

段落70

国は、障害のある人が地域で暮らすサポートをする当事者グループや団体(ピアサポートや自立生活センターなど)に支援をしてください。

 

段落71

国は、制度以外の支援も認め、地域や家族が必要に応じて研修と支援を受けるようにすべきです。

 

段落72

 支援者、支援サークル、支援ネットワークは、障害のある人本人によってのみ選択される必要があります。第三者によって選択されるものではありません。

 

段落73

ピアサポートは、施設や医療専門職から独立し、障害のある人によって自律的に組織されなければなりません。

 

段落74

障害のある人が家族から支援を受けることを決めた場合、家族への適切な支援サービスが提供される必要があります。このようなサービスは、たとえ短期間であっても、障害のある子どもや大人を施設に入れることを意味しません。

 

B.支援サービス

段落75

支援サービスは、障害のある人の意思と希望を尊重する人権モデルでやりましょう。医学的基準だけを使ったり、または医学的基準に頼らないこと。医療専門職は決定権を持ちません。

 

段落76

国は、医療システム以外(精神保健の診断または治療を必要としない)のサービス選択肢を用意すべきです。

 

段落77

リハビリテーションなどの支援サービスは分離させてはならず、障害のある人の隔離や孤立を強くするものであってはいけない。

 

段落78

支援サービスの財源はゆとりがあるべきで、お金が無いから支援できないことはあり得ません。いろんな障害のある人の要求と希望に応えるため、新しい形態の支援を創りましょう。

 

段落79

国は、障害のある人が施設から出て実家に戻る選択をしても、一人暮らしをする権利は保証しなければなりません。

 

段落80

支援は、利用する障害のある人が主体になるべきです。いやいや受入れたり、障害のある人の自律性、自由またはプライバシーを侵害する方法で提供されたりしてはなりません。

 

段落81

高齢の障害のある人に対する支援は、その人が地域のなかで自分の家でずっと暮らせる機会を提供すべきです。

 

段落82

障害のある子どもには、特有のサービスが必要です。しかしそれは、子どもの分離、排除、または放置をするものになってはいけません。

 

C.個別支援サービス

段落83

国は、すべての障害のある人(とくに施設を退所する人)が、必要に応じてパーソナル・アシスタンスを確実に利用できるようにすべきです。彼らにはパーソナルアシスタンスに関する情報を与えてください。

 

段落84 

国は、いろんな種類の個別的で人間中心の支援サービスを提供すべきです。

 

D.支援機器

段落85

国は、ハイテクやローテクの必要な支援機器を提供すべきです。

 

E.所得支援

段落86

国は障害のある人に対して、基本的な所得保障と、医療および障害関連費用(施設収容による被害を修復するために必要なものなど)をカバーする支援を提供すべきです。その支援はその人のライスステージに応じて変えていく必要があります。

 

段落87

国は世帯や職業に関係なく、すべての障害のある人が自立して生活するための費用をカバーする支援を受けることを保証すべきです。

 

段落88

施設の外でどこで誰と暮らすか、どのサービスを受けるかについて決められるように、障害のある人がニーズに合った支援形態、合理的配慮、様々な選択肢をもつことが必要です。

 

段落89

障害のある人とその家族の貧困は、施設収容の主な理由の一つ。国は、障害のある人が適切なふつうの生活を送れるように十分な所得支援を提供すべきです。

 

Ⅶ.他の人と同じようにメインストリームサービスに使う

段落90

脱施設化を計画するときは、メインストリームサービスを障害のある人にとって使いやすくしましょう。国は、メインストリームサービスで障害による差別が起きないようにすべきです。

 

段落91

国は、合理的配慮やメインストリームサービスで、障害のある人を入所施設に入るのを防ぐべきです。

 

段落92

地域に住むために施設サービスを使うことは禁止します。合理的配慮やメインストリームサービスを使ってください。

 

A.施設を退所する準備

段落93

すべての人は、入所施設から出て行く平等な機会をもち、いつでも退所できます。いかなる人も脱施設化から取り残されなりません。

 

段落94 

国は、施設の職員に、人権に基づいた、回復を目指した、本人中心的な脱施設化のアプローチに関する研修を受けさせてください。

 

段落95

入所施設から出て行く人の支援6点。

 

段落96

国は、入所施設から出て行く人に、地域に暮らすために必要な文書(住民票や障害者手帳など)を出してください。

 

段落97

金融、保険機関は障害を理由に利用をことわってはいけません。

 

段落98

施設の職員や法律関係者は、障害のある人が地域で生活する権利や障害のある人に合ったコミュニケーションに関する研修を受けなくてはなりません。入所施設が地域サービスを行ってはいけません。

 

B.地域で自立して生活する

段落99

入所施設から出て行く人には、他の人と同じ権利を保障しなければなりません。

 

段落100 

国は、障害のある人のインクルージョンに関する啓発活動を支援してください.その地域の啓発活動には、施設に住んでいる人や施設から出た人の参加が重要です。

 

段落101

国は、施設を退所した人が交通機関を利用できるようにすべきです。

段落102

国は地域のバリアフリーにすること

 

段落103

国は入所施設から出て行く人に総合的な医療を提供する必要があります。その際、障害の医学モデルの観点ではなくその人の選択、意思、希望を尊重した観点から提供してください。

 

段落104

国は入所施設から出て行く人に対して、他の人と同じように仕事をする機会を提供する必要があります。保護された雇用または分離された雇用を禁止しなければなりません。

 

段落105

入所施設から出て行く人は、ホームレスや貧困に陥る場合があるので、十分な支援が必要です。支援を受けているという理由で社会的制限を受けることはあり得ません。

 

段落106

入所施設から出て行く人はインクルーシブ教育へのアクセスを差別なく持てるようにするべきです。

 

Ⅷ.戦争や災害のときの脱施設化

段落107

パンデミック、自然災害、紛争などの緊急事態の間も、締約国は入所施設を閉鎖するための努力を続け、むしろ早める必要があります。とくに、気候変動が障害のある人、特に施設にいる人たちに大きな影響を及ぼすことを注意。緊急的なお金や復興のための金は、施設収容を継続させるために使われてはなりません。

 

段落108

緊急事態の時でも、脱施設化の計画は進めてください。「あなたは障害があらここにしなさい」とか、法的能力の制限は、緊急時でもやめましょう。

 

段落109

緊急事態の時、脱施設化をどう継続し加速させていくかについての計画は、障害のある人(とくに入所経験がある人)と創りましょう。緊急対応、救援、復興のプログラムや政策の策定、実施、モニタリング、評価のときも、一緒にしましょう。

 

段落110

緊急事態の時は、脱施設化のなかで最も困難なことを優先させましょう。

 

段落111

緊急事態の時は、障害のある女性は、とくに 性別ジェンダーに基づく暴力のリスクが障害のない女性に比べ高く、リハビリテーションセンターや法的救済につながりにくい。性別やジェンダーのことを考えて支援しましょう。

 

 

段落112

緊急事態に備えて、対応計画や復興計画、それへのお金の割り当て、実行には条約の原則に沿って行ってください。

 

段落113

国は、緊急事態の後、施設が再び建てされ、障害のある人を再び入所させたりしないようにしてください。

 

段落114

緊急事態のために、ハザードマップを創ったり、常に障害のある人の情報を集めておくことが必要です。

 

Ⅸ.障害のある人を入所施設に入れさせた国の責任

段落115

障害のある人を入所施設に入れることは、障害のある人がもっている色んな権利を侵害すること(人権の多重侵害)だと、国が自覚することが重要です。

 

段落116

国は、条約と色んな国際的指針に沿って、障害のある人を入所施設に入れた責任をとってください。

 

段落117

国は、施設収容によって引き起こされる被害の実態を調査したり、法令を変えたりする仕組みを創るべきです。また、入所施設にいた人が、法的に救済を求めることができるようにすべきです。

 

段落118

「被害」とは、入所中・退所した後に遭った権利侵害と個人の生活への影響、障害と性別・ジェンダー・人種などが合わさった被害を含みます。それらの被害に対応できる仕組みが必要です。

 

段落119

国は、施設入所を経験した障害のある人を代表するすべてのグループと協議して、入所施設から出た人に正式に謝罪する必要があります。

 

段落120

賠償の方法は、いろいろあります。

 

段落121

国は、施設収容の施策や、入所施設に入れられた人の被害の全容を調査し、国民に分るようにゆっくり丁寧に検討すべきです。

 

段落122

脱施設者のためのすべての救済措置は、障害のある人、とくに入所施設に入れられた人と進めなければなりません。

 

段落123

施設入所に対する保障・賠償をするからと言って、被害を調査し訴追する義務は軽減されません。

 

Ⅹ.脱施設化に関係するデータ

段落124

国は統計・調査・行政データを集め、これらを脱施設化に利用しなければなりません。これは、脱施設化の進捗状況を把握するのに必要です。

 

段落125

どのようなデータを集めるか、言葉の定義、集めたい項目の決定は、障害のある人とやりなさい。

 

段落126

集めるデータは例えば、以下。

人種、出身民族、年齢、ジェンダー、性別、性的指向、社会経済的地位、機能障害の種類、施設収容の理由、入所日、退所予定日または実際の退所日。そして。精神科や精神保健施設にいる人の数と動向、退所義務が果たされたかどうか、何人が退所の選択肢を行使したかなどの状況、まだ施設を出ていない人のための計画に関するその他の情報など

 

段落127

国は脱施設化に関する収集データを広く公開してください。

 

段落128

データ保護の法律は、条約の趣旨と合わせなさい。何故ならば、データを集める際、障害のある人の法的能力を尊重せず、人権の監視および擁護を弱める場合があるからです。

 

XI.脱施設化プロセスの監視

段落129

脱施設化を監視するのは重要です。プロセスは誰からでも分りやすくしましょう。監視機関は国から独立し、国の脱施設化の計画に意見を言うことができます。

 

段落130

監視機関には、障害のある人、特に施設にいる人または入所施設を経験した人、その代表団体も参加しましょう。施設の職員は入ってはダメです。

 

段落131 

監視機関は、十分なお金と権限をもち、施設、文書および情報を制限なく見ることができる必要があります。

 

段落132

脱施設化を監視する団体は、、公営・民間の施設内の状況や人権侵害を自由に調査することを許可されるべきです。この調査は障害のある人ののプライバシーを尊重するものでなければなりません。

 

段落133

国は、監視団体からの情報などから分った人権侵害をいつでも対処すべきです。

 

段落134

施設に入所していた人から「自分の情報がほしい」という申し出た場合、国はその要求を尊重すべきです。

 

段落135

施設から出る際、障害のある人の記録は、本人の意思と希望に応じて、本人に引き渡されるか、抹消されるべきです。

 

段落136

国は、緊急事態の時でも、安全性を確保しつつ、監視を続けることを許可すべきです。

 

段落137

監視は、すべての施設が閉鎖されるまで行われるべきです。その活動には、障害のある人、特に施設に入れられた人、その代表団体、および独立した市民団体も参加できなければなりません。

 

XII.国際協力

段落138

脱施設化を支援するためには、国際協力が重要です。但し、施設へのお金は障害者権利条約の趣旨に合っていないためやめてください。

 

段落139

どのような国際協力が行われているかを広く伝えることは、施設の要望を無くすために必要です。

 

段落140

国際協力のお金でやる開発プロジェクトの計画と実施は、障害のある人(とくに施設にいる人、施設に入れられた人)とその団体と協議してください。

 

段落141

国際協力は、ずっとは行うことができないため、国にとって、脱施設化を自国にとって持続可能なものにならなければなりません。

 

段落142

地域の団体は、国際協力の一環として、脱施設化をすすめるのに重要な役割を果たすことができます。

 

段落143

各国の脱施設化を支援する国際的な調整は、悪い実践(障害の医学モデルの手法や強制的な精神保健法を推進するなど)が繰り返されることを防ぎ、優れた実践を集めるために重要です。この調整を行う場所を創るべきです。



                  *  Adopted by the Committee at its twenty-seventh session (15 August–9 September 2022)

                      委員会         27回会期(2022815日~99日)にて採択

blog202103 川崎就学裁判 1審判決に関するCPちゃん意見



 

横浜地方裁判所が出した判決は、障害者権利条約からすると次の2点において受け入れがたい。

(1)障害者への侮辱

 1審判決では、「原告Aは、一般的な発話による意思表示に困難を抱えており、その理解力・表現力・表出力は、平仮名・数字等を的確に理解し、これを表現・表出し得る程度に至っているものとは認め難い」とした。これは能力主義の発想で、健常者至上主義が露骨に現れている。意思表示が困難な場合、普通学級でいてはならないだろうか。学校は、コミュニケーションを伸ばして子どもが成長する場所であり,はじめはみんなコミュニケーションに困難性がある。そもそも「困難」は、コミュニケーションの受け手、つまり和希くんと十分に関わっていない健常者が困難という意味だろう。人間である以上、意思は誰でも持っており、それを表現しようとする。受け取れないのは、表現方法に受け手が気づかないだけである。表現方法と外界との溝を埋めるのが、普通学級での合理的配慮と自立活動だ。

 この判決は差別的だ。

(2)和希くんの合理的配慮と教育的ニーズに関する検討の欠落

 1審判決は、和希くんがどうしたら普通学級で学習できるか、どんなことが普通学級で出来ないかという検討が一切無かった。司法は教育の専門ではない。しかし事件が教育に関するものである以上、教育の具体的検討が不可欠である。極めて血が通っていない判決だ。

5-1J 個人通報制度(2020年スペイン)

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連の障害者権利条約個人通報制度

■個人通報制度とは?

​ 人権侵害を受けた被害者が国を相手に国連障害者権利委員会に訴える制度です。障害者権利条約選択議定書に定められていますが、日本は批准していません。
 

■いままでに出された見解

​・スペインの団体が個人通報制度を利用した事例

 親の意思に反して、ダウン症の子どもが特別支援学校に措置されたことは、障害者権利条約違反であると、障害者権利委員会が判断した。
 

◎障害者権利委員会がインクルーシブ教育の権利をめぐってスペインの条約違反を認定、2020年8月28日

 出典(英文:国連HP)

「国連人権専門家は、スペインは障害者に対してインクルーシブ教育を保障しなければならないと、述べている」2018年9月30日(CRPD in Japan訳)

​ 出典(英文:国連HP)

4-7J 脱施設化について

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脱施設化に関する動き

 脱施設化とは、ざっくりいうと1950年代以降、障害者をはじめとした様々な市民団体が強く訴えてきた、「自分たちを施設に閉じ込めるな」等とする主張のこと。具体的には、障害者の脱施設化では主に次の3点を求めています。

  • 自分の地域で自分らしく暮らす

  • 強制的な入所を終わらす

  • 入所するのを防止する

 

 脱施設化とインクルーシブ教育は、まさに車の両輪であり、インクルーシブ教育の実現には脱施設化が必須です(一般的意見第4号のパラグラフ66参照)。脱施設化の動きは近年再び、世界的に高まっています。

 ここでは、国内外の動きを随時まとめていきます。

●国内

日本の脱施設化は、障害当事者による地域サービスを充実させる運動が原動力になっている。具体的には障害種別によらない介助サービスの充実である

  • 1962年 国が家庭奉仕員派遣事業
  • 1974年 東京都で「脳性麻痺者介護人派遣事業」が始まる。
  • 1980年初頭 全身性障害者介護人派遣事業になっていく

  • 1982年 都で「自薦登録ヘルパー」の取組)

  • 1990年 ホームヘルプサービス事業(家庭奉仕員派遣事業の廃止)

  • 1997年 東京都独自の派遣事業を「全身性障害者介護人派遣サービス事業」にして全国展開

  • 2006年 上記派遣事業が重度訪問介護になる

  • 2014年 重度訪問介護の対象に知的障害、精神障害が加わる

  • 2014年2月 障害者権利条約に批准 第19条(地域生活)と一般的意見第5号に沿った政策が求められる。

  • 2015年 映画『インディペンデント・リビング』公開

●国外