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2024年3月24日日曜日

4-5J 川崎裁判について

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川崎市障害児就学訴訟について

●概要

2018年4月で小学校に入学する子どもとその保護者2名が、障害を理由に地元の公立小学校への就学を認めないことは違法だとして、2018年7月11日に川崎市と神奈川県を相手どり、横浜地裁に訴訟を起こした。
その子どもは先天性ミオパチーと診断されており、筋力が弱く、車椅子で行動している。また、人工呼吸器をつけており、たんの吸引などの医療ケアが必要である。そのため、就学するうえでもそのような医療ケアは必要となる。
 保護者は子どもを地域の普通学校へ通わせてやりたいと考え、また主治医から「地元小学校へ通学可能」だと聞き、地元小学校への進学を2017年11月に希望した。しかし、2018年2月に川崎市教育委員会は「特別支援学校での専門的教育が必要」だとし、3月には神奈川県教育委員会が子どもの就学先を特別支援学校と指定した。子どもの父親は2020年9月12日の第一回口頭弁論でなぜ市教委は特別支援学校でなければ安心安全に過ごせないと断定したのかと疑問を述べていた。

●1審判決

 横浜地方裁判所は2020年3月18日、就学先を特別支援学校に指定したのは違法だとして神奈川県および川崎市を訴えた原告の主張を退けた。
 判決では、障害者権利条約について触れられていない。どうすれば障害者権利条約の意図に沿うように原告が普通学級に就学できるのかは全く検討されなかった。証人尋問で述べられていた合意形成の過程も、検討されなかった。傍聴者からは「北海道では今年、特別支援学校から普通学校へ転校できた人がいる。なぜ川崎市はダメなのか」といった意見が出た。原告は控訴している。現在、原告は東京都に引っ越し普通学校に通っている。

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 →判決の内容

●抗議・声明文など

〇テレビ

・NHKハートネットテレビ「ぼくは学校に行きたい ~医療的ケア児とインクルーシブ教育~」記事公開日:2020年03月13日

https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/324/

 

〇新聞記事

・2020年3月14日 神奈川新聞「共生を求めて(1)子どもの輪に入りたい」https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-299372.html

 

・2020年1月9日 神奈川新聞「『共生の機会奪ってる』障害児就学訴訟が結審、3月判決」https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-239175.html

 

・2020年3月19日 東京新聞 「障害児の希望校、認めず 就学先指定『差別なし』横浜地裁判決」https://www.tokyo-np.co.jp/article/17481

 

・2020年7月14日 朝日新聞デジタル(有料会員記事)「8歳の願い、世田谷に転居で実現 人工呼吸器で公立小へ」https://www.asahi.com/articles/ASN7F75SYN7FULOB00Y.html

 

・2020年10月23日 朝日新聞デジタル「医療的ケア児、就学先めぐり平行線 両親と相模原市教委」https://www.asahi.com/articles/ASNBQ6W42NB1ULOB01V.html

 

・2020年12月15日 神奈川新聞 「原告『共に学ぶ機会、川崎市が奪った』重度障害児就学訴訟」https://www.kanaloco.jp/news/social/article-335191.html

 

・2020年12月24日 毎日新聞(有料記事) 回想2020 「相模原事件と川崎市立小の就学拒否 「共生社会」はどこに 障害者/健常者、排除されぬ壁」/神奈川神奈川

https://mainichi.jp/articles/20201224/ddl/k14/040/107000c

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〇特集記事

・2020年3月20日 ダイヤモンド・オンライン「『人工呼吸器でも普通学級で学びたい』重度障害児の訴えはなぜ退けられたか」福原麻希  https://diamond.jp/articles/-/232335

 

・2020年12月31日 ダイヤモンド・オンライン「普通学校の医療的ケア児受け入れ、川崎市でなく世田谷区で可能だった理由」福原麻希 https://diamond.jp/articles/-/258251

 

・2020年7月21日 参議院議員船後靖彦オフィシャルサイト「呼吸器をつけた児童の転校について」https://yasuhiko-funago.jp/page-200717/

●報道


 

3-5J 2023年 文科省報告

 

国連の総括所見の内容は・・・

通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議について

​ 文部科学省は、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議を設け、今後の特別支援教育について議論しました。そして検討会議は2023年3月13日(月)に報告書を公表しました。どのようなことが書かれているのでしょうか。インクルーシブ教育の観点から分析してみました。

2024年3月18日月曜日

4-4-1J インクルーシブ教育情報室の「特別支援教育」

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●障害者権利条約との整合性

​ 条約の第24条(教育)の1項には、(b)「障害者が、その人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること」とあるが、これは本来(c)の「自由な社会に効果的に参加することを可能とすること」とあわせて解釈する必要がある。

 特別支援教育は、結論的に(b)の内容を重視しており、(c)の内容は無視されている。障害のある人は社会に仲間入りすることより、常に障害の改善に向き合っていなければならないのか。

 

“多様な学び”だぁ?

 文科省は、特別支援学校が権利条約でいう「多様性の尊重」の一翼を為しているとしたいのだろう。しかし、それは無理だと考える。特別支援学校は、普通学校から物理的に離れたところで、障害のある子どもを無期限に集め教育するところである。本人・保護者が、そのときの要望によって、学びの場を自由に選べるという意味での多様性は皆無に近い。普通学級、通級指導教室、特別支援学級は、教員たちの運用次第では、「この時間だけ通級指導教室で」などと多様性・連続性が担保される。特別支援学校は他の支援とは違い、多様な学びの場として機能し得ない。

4-4J 特別支援教育について

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ここでは、特別支援教育について解説します。制度を知った上で、障害者権利条約に合致しているか見ていきましょう!

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●特別支援教育とは

日本の障害児教育施策の「特別支援教育」は,次のように定義されています。(文部科学省通知、「特別支援教育の推進について(通知)」,2007年4月)

 

「特別支援教育」とは、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うもの

■4形態がある  

特別支援教育は、次の4形態があります。

(文部科学省HP「2.特別支援教育の現状」、ttps://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/002.htm、アクセ日:2020/12/11)

 

1. 特別支援学校

障害のある幼児児童生徒に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること目的とする学校。


【対象障害種】
 視覚障害者,聴覚障害者,知的障害者,肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)

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2.特別支援学級

小学校、中学校等において以下に示す障害のある児童生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するために設置される学級。
【対象障害種】
知的障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者、弱視者、難聴者、言語障害者、自閉症・情緒障害者

 

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3.通級による指導

小学校、中学校、高等学校等において、通常の学級に在籍し、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする児童生徒に対して、障害に応じた特別の指導を行う指導形態。
【対象障害種】
 言語障害者、自閉症者、情緒障害、弱視者、難聴者、学習障害者、注意欠陥多動性障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者

 

4.通常の学級

小学校、中学校、高等学校等にも障害のある児童生徒が在籍しており、個々の障害に配慮しつつ通常の教育課程に基づく指導を行う

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また、各形態では、少人数学級編成、交流及び共同学習を行っている

■自立活動とは

(特別支援学校・学習指導要領解説 自立活動編を参考)

特別支援教育では、「自立活動」が重要な位置を占めています。
自立活動とは、上記の定義の後段部分「障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授ける」こと。


具体的には
個々の幼児児童生徒が自立を目指し,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識,技能,態度及び習慣を養う指導。

またその内容は、大きく6つ。
 「健康の保持」,「心理的な安定」,「人間関係の形成」,「環境の把握」,「身体の動き」,「コミュニケーション」

4-3J 保護者の学校付き添い問題

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 日本では、子どもが登下校時や学校生活を送る場合、保護者の付き添いを学校側が求めることがあります。これは合理的配慮の欠如であり、「子どもに障害があったら、保護者が面倒を見るのが当然」とする古い認識によるものです。合理的配慮の欠如は障害者差別解消法違反です。

​挿絵

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​●資料紹介

●実態調査

●​文部科学省

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4-2-1J 合理的配慮とは・・・

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「ごうりてきはいりょ(Reasonable Accommodation)」とは、障害者権利条約の要の一つ。


障害者権利条約第2条 定義
「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」

 

 障害のあるすべての子が普通学級で安心して学べるように、学校や教育委員会が環境を調整変更することを合理的配慮といいます。障害者差別解消法で合理的配慮をすることは、公立学校の法的義務、私立学校では努力義務となっています。

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 なお、"Reasonable Accommodation"を「合理的配慮」と翻訳するのは、障害者権利条約の趣旨と照らして考えると誤訳であると言えるでしょう。"Reasonable Accommodation"は「合理的調整」と翻訳した方が条約の趣旨と合います。「調整」は、対等な立場で話しあうことを前提としています。

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 障害者権利条約の一般的意見4号パラグラフ30には合理的配慮の具体例について以下のように説明されています。

​ 「教室の場所の変更、異なる教室内コミュニケーション形式の提供、印刷物、教材及び/または掲示物の文字の拡大、代替形式によるプリントの提供、ノートテーカーや通訳者の派遣または学習・試験における支援技術の使用許可などがあげられる。生徒に時間の延長を認めたり、背後の騒音レベルを下げたり(感覚過負荷に対する過敏症の場合)、代替評価手段を使用したり、カリキュラムの要素を別のものに差し替えたりすることなど」​

 このように、普通学級でともに学ぶための調整を合理的配慮と言います。障害のある子どもの教育・支援・発達のために、特別支援学校や特別支援学級などの分離した環境に措置することを合理的配慮だという解釈がありますが、それは明らかに間違いです

4-2J 合理的配慮​について

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合理的配慮は、権利条約の重要キーワードの一つ。障害者本人と話し合って、当事者にとってより良い環境を創り出すこと。
ここでは、教育における合理的配慮について紹介するよ!

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​4-1J 2022年4月27日文科省通知について

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 特別支援学級の児童生徒「普通学級で過ごす時間 半分以下にする」? ​日本のインクルーシブ教育をつぶす文部科学省通知

 2022年4月27日、文部科学省は、交流及び共同学習を多く行われいる特別支援学級に対して、それを規制する指導を行った。交流及び共同学習は、特別支援学校や学級に在籍する子どもと普通学校・学級に在籍する子どもが交流する教育活動のこと。

 文科省は、一部で交流及び共同学習を学校生活の多くに取り入れている学校がみられるとして、「学校生活の半分以上は特別支援学級で、個に応じた授業を受けるよう」注意した。文科省としては、特別支援学級の在籍者は障害の困難を改善・克服するための必要な知識、技能、態度を養うことが望ましいとしているためであろう。

 →通知(文科省HPでダウンロード)​

 しかしこれは障害者権利条約に真っ向から逆行するものである。障害者権利委員会の一般意見第4号では、障害のある子どもとない子どもが共に生活する重要性が述べられ、通常学級内で個別支援を受けることが必須だとする。文科省には、分離教育を進めるような取組はやめるべきである。

 保護者からも文部科学省に異議申し立ての声があがっている。例えば大阪の保護者は、この通知が障害児を分離隔離する差別であると大阪弁護士会に訴えた。2024年3月26日、大阪弁護士会は、この通知が人権侵害であるとして、文部科学省に撤回するよう勧告を出している。



3-3J 新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議

 

●会議について

  2019 年 4 月  文部科学大臣が中央教育審議会に「新しい時代の初等中等教育の在り方について」 検討するよう 諮問したことがきっかけとなり 設置された。中央教育審議会は、小有識者会議を設置。これが、「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」だ。

2019 年 9 月~20 年 12月の にかけて議論した。
会議資料によれば、会議趣旨として次のとおり。
「医療の進歩・特別支援教育への理解の広がり・障害の概念の変化や多様化など…特別支援教育を必要とする子供たちの数は増加の一途をたどっている。」。こうした状況のもと、 自立活動などの重要性がますます高まっており 「…障害者の権利に係る国際的な議論の動向等も踏まえつつ、特別支援教育の現状と課題を整理し、一人一人のニーズに対応した新しい時代の特別支援教育の在り方や、その充実のための方策等について検討を行う」 (第 1 回会議資料「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議の開催について」)
 

●報告

有識者会議は、2021年月に議論の最終とりまとめとして「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議 報告」を出した。

●報告の問題点

​・尾上裕亮「権利条約24条を中心にした議論を!―有識者会議を傍聴して①―」

 会報誌「障害児を普通学校へ​」No.383(2020.4)

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​・尾上裕亮「素案と条約​ ―有識者会議を傍聴して②―」​

 会報誌「障害児を普通学校へ​」No.391(2021.1)

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・一木玲子「『新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議報告』の国際的視点からの評価」『季刊 福祉労働』170号(2021.3

2024年3月17日日曜日

2-2J 障害者差別解消法

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2-1J 障害者基本法

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障害者基本法は、障害者施策を司っている基本になる法律です。基本法では、教育についてどのように書かれているのでしょうか

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●障害者基本法とは

 障害者基本法では「障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ことを求めています。障害の捉え方として、日本の法律で初めて「社会モデル」(個人要因のみなら、社会側の障壁によって障害は生じる)が採用しています​

●教育について

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 教育に関しては16条に規定されています。16条では、第1項で、障害者のある児童生徒と障害のない児童生徒が、共に教育を受けられるよう国及び地方公共団体は配慮することを定めています。そして、第2項で障害のある児童生徒と保護者に十分な情報提供を行い、その意向を尊重しなければならないとしている。

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障害者基本法16条引用

第十六条 国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。

2 国及び地方公共団体は、前項の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない。

3 国及び地方公共団体は、障害者である児童及び生徒と障害者でない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによつて、その相互理解を促進しなければならない。

4 国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確保及び資質の向上、適切な教材等の提供、学校施設の整備その他の環境の整備を促進しなければならない。

 

→障害者基本法 全文 (内閣府ホームページ)