「ともに学ぶ情報室」訳
Ⅲ. 主な懸念事項と勧告
B. 特定の権利(第5〜30条)
教育(第24条)
51. 委員会は、以下の点を懸念している。
(a)医療に基づくアセスメントによって、障害のある子どもを分離する特別教育が永続していること。これによって障害のある子ども、特に知的または心理社会的障害のある子ども、および、より多くの支援を必要とする子どもが通常の環境での教育を受けられなくなっている。同様に、普通学校における特別学級の存在も分離特別教育を永続させていること。
(b)受入体制の事実上の不備によって、障害のある子どもの普通学校への就学を拒否していること。特別学級の子どもが、半分以上の時間を普通学級で過ごすべきでないことを示す文部科学省の通知が2022年に出されたこと。
(c)障害のある子どもへの合理的配慮の提供が不充分であること。
(d)普通教育を担う教員のインクルーシブ教育に関するスキルが欠如していること、およびインクルーシブ教育に対して否定的な態度を示していること。
(e)普通学校において代替的かつ補強的なコミュニケーションおよび情報伝達手段(聴覚障害児のための手話言語教育や、盲ろう児のためのインクルーシブ教育などを含む)が欠如していること。
(f)高等教育段階(大学入試および学修プロセスを含む)における障害学生にとっての障壁に対処する包括的な国の政策が欠如していること。
52. 委員会は、インクルーシブ教育の権利に関する一般的意見4号(2016年)および持続可能な開発目標4の目標4-5および指針4(a)を想起し、締約国に以下のことを強く勧告する。
(a)分離特別教育廃止を目的とする国の教育政策、法律および行政的取り決めによって、障害のある子どものインクルーシブ教育の権利を認めること。また、すべての障害のある子どもに対して、あらゆる教育段階で合理的配慮および必要とする個別の支援を提供することを保障すること。そのために、具体的な目標、時間枠および十分な予算を設定した質の高いインクルーシブ教育についての国の行動計画を採用すること。
(b)すべての障害のある子どものための普通学校へのアクセシビリティを保障し、普通学校が障害児の就学を拒否できないことを明確にする「就学拒否禁止」(non-rejection)の条項および政策を立てること。また、特別学級に関する文部科学省通知(特別学級の子どもが半分以上の時間を普通学級で過ごしてはいけないことを示すもの)を撤回すること。
(c)障害のある子どもの個別の教育上の要求を満たし、インクルーシブ教育を確実にするために合理的配慮を保障すること。
(d)普通教育を担う教員およびインクルーシブ教育に関わる教員以外のスタッフへの研修を確実に行い、障害の人権モデルについての意識を育てること。
(e)普通教育の環境において、補強的かつ代替的なコミュニケーション方法(点字、読みやすく改編したもの(Easy Read)、聴覚障害児のための手話言語教育を含む)を保障すること。また、インクルーシブ教育の環境において、ろう文化を推進すること。盲ろう児がインクルーシブ教育にアクセスできるようにすること。
(f)高等教育段階(大学入試や学修プロセスを含む)における障害学生の障壁に対処する包括的な国の政策を進めること
日本におけるインクルーシブ教育と、脱施設化の取り組みを紹介します! We introduce movement toward Inclusive Education and De-institutionalisation